背景
身体活動は認知機能を改善することが示唆されています。
今回の論文の目的は、認知的要求を伴う運動(EXCIR)がADHD児の注意と実行機能に及ぼす影響を検討することです。
方法
◇対象者:ADHD児 30人
属性 年齢:10±1.78
教育年数:1.27±0.45
男女比 男:22人 女:8人
対象者を無作為に2つのグループ(介入群とコントロール群)に分けた。
◇介入内容:
Exercise for Cognitive Improvement and Rehabilitation (EXCIR)
EXCIRは認知的要求を10段階で段階的に行う、12の運動で構成されています。
合計12回の介入ですが、頻度は説明されていませんでした。
◇アウトカム:
・Trail Making Test: A(s)、B(s)、B-A(s)
・Attention Registration Test (文字末梢テスト)
・Stroop test
・N-back (今回は1-back課題)
・Go No-go課題
◇介入結果の分析方法:
1.介入前のグループ間に差があるか調べるために t検定 を実施。
2.介入後の介入群とコントロール群のアウトカムを反復測定多変量分散分析(ANOVA)を実施。
結果
・Trail Making Test: A(s)、B(s)、B-A(s)
・N-back
・Go No-go課題
の3つの課題にて交互作用が確認されました。
※TMT:A(s)の結果は論文には記載がありませんでしたが、交互作用を認めたと記載があります。
著者は以上の結果から、
EXCIRは「持続性注意」「選択性注意」「認知的柔軟性」「抑制」
「視覚性ワーキングメモリ」に対して効果があったと結論づけています。
感想
ADHDを伴うお子さんは、座って実施する課題や単調な課題が苦手であることが多くあるため、今回のEXCIRのような身体活動をベースにした介入方法でアウトカムの結果に有意差が認められたことは素晴らしいことだと感じます。
一方で、今回の論文では
「Attention Registration Test (文字末梢テスト)」
「Stroop test」
では交互作用を認めず、介入による効果を証明できていないため、著者が主張している
「注意機能」と「抑制」への効果はさらなる検討が必要ではないかと感じました。