背景
著者が小児リハビリの臨床で出会うお子さんの中には「なわ跳びができるようになりたい」と希望のあるお子さんが多くいます。
なわ跳びは小学校体育の授業で必ず実施する競技ですが、
「なわを回す動作」と「タイミングを合わせてジャンプする動作」の両者を同時に行わなければならない難しい競技です。
なわ跳びができるように支援する際に、どのような視点を持って支援をすれば良いかというヒントを得ることができたため論文を紹介します。
方法
対象者の属性
・人数:東京都内の小学校に在籍する1学年から4学年の児童537名(男子261名、女子276名)
対象児の身体的特性を表1に示します。
なわ跳びの動作分析方法
・全ての児童のなわ跳びの運動遂行をビデオカメラで撮影
・撮影結果をもとに、「動作カテゴリー」を抽出し動作段階を5パターンとして捉えた。
・それぞれの動作段階を最も特徴づける「キーカテゴリー」を抽出した。
・動作段階をそれぞれ点数化し動作得点とする。
(パターン1⇒1点 パターン2⇒2点・・・パターン5⇒5点)
統計的分析
・動作得点を用いて、学年と性別を要因にした二要因分散分析を実施し、有意な主効果が
認められた場合は、Bonferroniの多重比較検定を行う。
結果
なわ跳び動作の解析の結果、5つの動作パターンが抽出された。
動作パターンを図1に示す。
なわ跳びの観察的評価をキーカテゴリーのみに分類し簡易化したものが図2となる。
性別学年別にみたなわ跳び動作において出現したパターンの割合を図3に示す。
本論文では、動作段階をそれぞれ点数化し動作得点とした。
動作得点に与える影響を「学年」と「性別」の2要因に分けて分析を実施した結果を表2に示す。
まとめ・感想
論文内では、使用した評価の信頼性が高いことが示されていましたが、ここでは割愛します。
特に今回臨床に取り入れやすいと感じたのは、図2に示される簡易的な評価です。
臨床で「なわ跳びができるようになりたい」と主訴のある方と出会った際には、実際に取り入れようと考えました。また、動作パターンを5つにわけることで、お子さんがどこの段階でつまずいているのか明確にすることができます。そうすることで支援が個別化しやすくなり大変有意義な評価であると感じました。
文献
篠原 俊明 他, 児童におけるなわ跳び動作の発達とその観察的な評価,発育発達研究,2016 8月